浮遊系ダイブ

浮遊系ダイブのススメ2

タルガタハダカカメガイ Cliopsis krohni 撮影地ボラカイ

「浮遊系ダイブのススメ1」で書き忘れたのですが、浮遊系ダイブでよく見られるものの中に浮遊性の貝類も挙げられます。有名なクリオネなどが属する裸殻翼足目としてはクリオネ=ハダカカメガイが有名ですが、南の海ではタルガタハダカカメガイやヤサガタハダカカメガイ、ヒョウタンハダカカメガイ、その他2種類ほど和名の無い種類が日本近海にも生息しています。また、カメガイの仲間などが属する有殻翼足目やゾウクラゲなどが属する新生腹足目も実に沢山見られます。今回写真で紹介しているボラカイで撮影したタルガタハダカカメガイは体長3cmほどの若い個体だったのですが、今までには大瀬崎で5cmほどの個体も撮影しています。いずれの時も周りにクラゲが沢山いる潮目の状況でした。この仲間は人形のような形をしているので海の中で出会うととても親近感がわきますね。泳ぎ方もかわいいです。でもひとたび捕食のシーンに出くわすと、頭部から漏斗のような管を出してけっこう「えげつない」です。「天使と悪魔は紙一重」まさにその言葉どおりかもしれません。

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新種のくらげかと思ったが、その答えは

ボラカイで撮影した Cerinula Larvae

ボラカイの有名な沈船ポイント、カミア2でのこと、新種の鉢クラゲか?と思うような生き物に出会いました。その時は現地サービスのオーナーYさんに「おそらくクラゲだと思います」と応えたのですが、後で画像をよく見るとどうも腑に落ちない。ん~おかしい。と言うことで日本に戻ってから調べることにしました。もちろん調べる本は「Atlas of Marine Invertebrate Larvae」です。鉢クラゲじゃなければ何?となるのですが、よく似たものにはハナギンチャク類の幼生が疑われます。しかし以前に撮影したものとは場所も形も色も異なっていたので、どうかな?と思ったのですが、よく似たものが96ページにCerinula Larvaeとして掲載されていました。さすがバイブル本です。

さすがに何ハナギンチャクまではわからないのですが、口や胃腔が黒いところは深海棲のクラゲにも似た特徴です。よく考えるとイソギンチャクも同じ刺胞動物の仲間ですから、似ていてもおかしくありませんね。もしかしたら幼生期に見られるクラゲへの擬態なのかもしれません。

このブログ、こんなのばかり載せていてマニアックすぎですかね?

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股の間からこんにちは

フィリピン ボラカイで見たphyllosomaです。Ibacus spp.

浮遊系ダイブをしていて見られる生物の一つにフィロゾーマ幼生が挙げられます。写真のフィロゾーマはウチワエビのものですが、(この個体の足を含めた横幅は6cmくらい)他にもよく似たセミエビ類やイセエビ類のものなど色や形は様々なパターンがいます。

どういう所にいるかと言うと、表層近くのクラゲが多い潮の中を漂っています。時にはクラゲの傘に乗っている事もあります。乗るクラゲの種類は特に決まっていませんが、どちらかと言うとオキクラゲやミズクラゲなどのような鉢クラゲ類につくことが多いです。それは、傘の寒天質がしっかりとしたものの方が乗り心地が良い為だと思われます。その姿から通称ジェリーフィッシュライダーとも呼ばれています。

彼らは運よくクラゲに乗れれば、その傘の上に足を広げてクラゲの移動にあわせながら微小なプランクトンを捕らえます。また、魚などの捕食者から身を守るのにもクラゲは絶好の隠れ場となります。でも、彼らの擬態にだまされるほど魚は目が悪いわけではないので、おそらく多くのフィロゾーマは成長過程で捕食者の生命源になっていると思われます。

しかし、たとえ見つかったとしても、何も無い中層や、捕食者の多い海底付近にいるよりも、クラゲと一緒にいるほうがはるかに捕食者に見つかる可能性は少ないので、彼らにとってはクラゲは無くてなならない存在です。

クラゲに乗っていないときはふらふらと水中を漂っています。周りにはクラゲが沢山いるので、彼らはそこに紛れているわけです。こういうときに撮影するのは、じっとしていないせいもあり難しいです。僕のことを突然現われた巨大な捕食者だと思っていますから、くるくると回転しながら逃げ回ります。やわらかい腹部を見せないように、いつも硬い甲がこちらに向くように行動するのは本能なのかもしれませんね。

上の写真はそんな中でタイミングを見計らいながら撮影した写真です。ちょうど股の間からこちらを伺っているような感じに見えますね(笑)

彼らは単独でいるわけではありません。1匹見つかれば同時期に成長した仲間たちが、周りには何個体もいるはずです。クラゲが多い潮に出くわしたときは、是非観察してみてください。きっと見つかると思います。

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浮遊系ダイブのススメ1

フィリピン レイテの春のクラゲ Linuche aquila

浮遊系ダイブとは・・・・・フリソデエビがでていようが、アンコウがいようが、外海でマンボウが出てフィーバーしていようが、わき目も振らずただひたすら水深1~5mほどの表層を漂うダイブのことを言います。
見るものはクラゲや深海の仔魚、また属に言うLarvaeです。おそらく私がこのダイブで見ているもののほとんどは一般的なダイビングではまず目にすることの無いものばかりです。

利点はたくさんあります。

  1. 浅いのでエアが減らない
  2. スノーケリングでも出来る
  3. 12リットルタンクを背負えば2時間くらい潜っていられる
  4. 想像も出来ないような生き物との究極の出会いがある
  5. そして、無茶苦茶面白い事

難点は更に沢山あります。

  1. 相手はいつも漂っている生きものなので、かならず遭えるとは限らない。
  2. 見たものを調べるのが難しい
  3. こういうダイビングガイドをしてくれるようなところがまだ無い、または現地も情報を持っていない。(私の知る限り一人か二人くらいしか浮遊系に詳しいガイドが居ません)
  4. 撮影はきわめて難しい。
  5. タンクの消費が少ないので現地サービスが儲からない。
  6. 時間が長いので現地ガイドに嫌がられる。またはなかなか上がってこないので心配される。

このダイブをするにはいくつか条件があります。

  1. 完璧に中性浮力がとれる事
  2. コンパスが理解できる事
  3. 生きものを見分ける観察力が鋭い事
  4. 潮を読むこと
  5. 風向きを読むこと
  6. 下から上がってくる一般ダイバーのはいた泡にイライラしない事

これらの条件さえ揃えばあなたは立派な浮遊系ダイバーの一員です。

私はこの10年くらい、プライベートな撮影ではほとんどこの浮遊系ダイブをやってきました。日本も海外も津々浦々、今ではたいていのクラゲやLarvaeなら見た瞬間に何の仲間か?くらいまではわかるようになりました。これから徐々に皆さんに紹介していけたらと思います。

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深海魚が現われた。

トミハダカ Lampanyctus alatus

今年の冬の大瀬崎の表層はなぜかクラゲが不作だ。いつもならこの時期には40種くらいのクラゲを見ているが、そのほとんどが今年は皆無といってもいい。でも、北東が吹いた日は、少しでもチャンスがあることを願って大瀬に向かう。そんな中、いつものように表層を漂っていると、思わぬ幸運に恵まれた。

写真の魚は和名をトミハダカ 学名をLampanyctus alatusという。日中は275~1000m程の中層にいるハダカイワシ類の一種だ。普段はまず目にすることは無いが、冬場の夜間は表層に姿を現すこともある。今回のように昼間の表層で見るのは初めてで、しかもハダカイワシ類をまともに撮影できたことや、発光器(体の側面に並んでいる青い点が発光器です)がわかるような生態写真が撮れる事自体が稀だ。なぜなら、夜に見るハダカイワシは瞬間移動するので、今までまともな撮影が出来たためしがない。写真は今日も浮遊系はだめかと半ばあきらめていた時に出会えた貴重な成果でした。

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